ユダの手紙 1:8ー16

聖書箇所

[ユダの手紙 1:8ー16]
8それにもかかわらず、この人たちは同じように夢想にふけって、肉体を汚し、権威を認めず、栄光ある者たちをののしっています。
9御使いのかしらミカエルは、モーセのからだについて悪魔と論じて言い争ったとき、ののしってさばきを宣言することはあえてせず、むしろ「主がおまえをとがめてくださるように」と言いました。
10しかし、この人たちは自分が知りもしないことを悪く言い、わきまえのない動物のように、本能で知るような事柄によって滅びるのです。
11わざわいだ。彼らはカインの道を行き、利益のためにバラムの迷いに陥り、コラのように背いて滅びます。
12この人たちは、あなたがたの愛餐のしみです。恐れる心もなく一緒に食事をしますが、自分を養っているだけです。彼らは、風に吹き流される雨無し雲、枯れに枯れて根こそぎにされた、実りなき秋の木、
13自分の恥を泡立たせる海の荒波、真っ暗な闇が永遠に用意されている、さまよえる星です。
14アダムから七代目のエノクも、彼らについてこう預言しました。「見よ、主は何万もの聖徒を引き連れて来られる。
15すべての者にさばきを行い、不敬虔に生きる者たちのすべての不敬虔な行いと、不敬虔な罪人たちが主に逆らって語ったすべての暴言について、皆を罪に定めるためである。」
16彼らは、ぶつぶつ不満を並べる者たちで、自らの欲望のままに生きています。その口は大げさなことを語り、利益のために人にへつらいます。

本文の注解
イエスキリストのしもべ、ヤコブの兄弟ユダは救いに対して手紙を書こうとしていた。
しかし、教会の中に忍び込んだ偽りの教師のゆえに信仰のために戦うように勧める手紙を書いた。
偽りの教師たちは神様の恵みを放縦に変え、イエスキリストを否定した。

ユダは三つの例をもって聖徒たちに偽りの教師を、警戒するよう言う。
① 荒野時代、不従順したイスラエル。
② 自分の領分を守らずに自分のいるべき所を捨て裁きを受けた御使いたち。
③ 不自然な肉欲を追い求めたゆえに永遠の火の刑罰を受けたソドムやゴモラ。

そして、今日の8-16節は偽の教師の行動と彼らの受けるべき裁きに対して説明する。
ユダは偽りの教師たちを非難し(8-10)、旧約の三人の人物を例に挙る(11)
続けて4つの例えを通して教師たちの特徴を描写し(12-13)、エノクを引用して彼らが受けるべきさばきを宣布する(13-14)。これを糸口として偽教師の言葉と行動を暴露する(16節)

偽の教師は夢想にふけっている。
彼らは夢と幻想で受けた啓示を持ってみことばによる「啓示」を取り代える。
そして自分たちだけが特別な啓示を受けたと主張する。
彼らは真の聖書を否定し、彼らが見た夢を啓示として信じて伝える。
これを霊的知識として錯覚し、優越感と高慢で放縦する。

ユダは彼らを三つに非難する(8)
① 偽りの教師たちは肉体を汚す。これは性的な放縦である。
② 彼らは権威(唯一の支配者主であるイエスキリスト)を認めないで否定する。
③ 栄光ある者たちをののしる。

9御使いのかしらミカエルは、モーセのからだについて悪魔と論じて言い争ったとき、ののしってさばきを宣言することはあえてせず、むしろ「主がおまえをとがめてくださるように」と言いました。
ミカエルは、モーセのからだについて悪魔と論じて言い争った。
この節の内容は私たちが持っている正典 (聖書66巻)には記されていない。古代教会の偽典である「モーセの昇天」に記させてある記事であると言われる。
ここでミカエルはモーセをどのように埋葬するのか。またサタンがどのように妨げたのかを報道する。
(申命記34:6にはモーセの墓を知る者はいないと記されている。)

悪魔(サタン)がモーセの埋葬を反対した理由は出エジプト記2:12節を根拠にしてモーセは人を殺したことである。(モーセの昇天)
しかし、御使いのかしらミカエルは、悪魔をののしってさばきを宣言することはあえてせず、むしろ「主がおまえをとがめてくださるように」と言いながら主に委ねた。
このように御使いのかしらミカエルさえも、悪魔をののしってさばきを宣言することはあえてしなかった。しかし、偽りの教師たちは栄光ある者たちをののしっている。

偽りの教師たちはグノーシス主義者たちで、自分が知りもしないことを悪く言い、わきまえのない。なぜなら、御霊を持っていないので、霊的真理を理解することができない。そして、動物のように、本能で知るような事柄によって滅びる(10節))

ユダはまた、旧約聖書の失敗者3人を例に出している。
彼らはカイン、バラム、コラである。
①「カインの道を行き」とは、神に反抗する道を歩んでいるということである。
➡カインは、弟のアベルを殺して最初の殺人者となった。
[ヨハネの手紙 第一 3:12]カインのようになってはいけません。彼は悪い者から出た者で、自分の兄弟を殺しました。なぜ殺したのでしょうか。自分の行いが悪く、兄弟の行いが正しかったからです。
②バラムは、ミディアンを煽ってイスラエルが偶像を崇拝するよう誘惑した。(民数記31:16)
バラムがモアブの王バラクによって神の御心に背いてイスラエルの民を呪おうとした(民数記22:6-7・24:13)
11節の「バラムの迷いに陥り」とは、利益のために仕えるということ。
③「コラのように背いて」とは、願いを達成するためにモーセ(権威)に反抗すること。モーセとアロンに反抗し、家族とともに割れ目に落ちた(民16章)。

12-13節で、ユダは偽りの教師たちの特徴を具体的にあらわしている。
彼らは愛餐のしみで、恐れる心もなく一緒に食事をしますが、自分を養っているだけである。
① 彼らは、風に吹き流される雨無し雲➡それは風が吹いてくると、消えてなくなる。
② 枯れに枯れて根こそぎにされた、実りなき秋の木、➡改宗前や改宗後も同様に死に陥っている。
③ 自分の恥を泡立たせる海の荒波➡落ち着きがなく、常に騒がしくしている。恥ずかしことが分からない。
④ 真っ暗な闇が永遠に用意されている、さまよえる星➡彼らは、堕落した天使の道を歩んでいる。

14-15節では旧約偽典の『エノク書』から引用している。
ユダはエノク書でさばきを受けることを決めた者はまさに偽りの教師たちであることを明示している。
偽りの教師は実際に不敬虔な罪人であり、彼らの言葉と行動は誰もが不敬虔である。
主は何万もの聖徒を引き連れて来られるときに彼らを必ず裁かれる。

16節でエノク書の引用に基づいて、偽りの教師の正体をもう一度暴露している。
① 彼らは、ぶつぶつ不満を並べる者たちで、
② 自らの欲望のままに生きている。
③ その口は大げさなことを語り、利益のために人にへつらう。

教会を脅かす、偽りの教師たちは「教師」という点で多くの知識を持っている。
特に彼らは世の知識ではなく霊的知識を独占すると言い、優越感を持っている。
しかし、彼らが誇る霊的の知識は、「聖書の預言者を通してつたえられたキリスト」ではなく(第一ペテロ1:10-11)、夢や幻想によって知られている霊的知識である。
みことばから離れて知る霊的な知識は、優越感と誇りを呼び起こし、放縦に至る。

御言葉を通して、永遠の命を知り、永遠の命を与えるために来られたイエスキリストを知ることこそ正しくて、完全な知識である。
イエス様の当時のパリサイ人たちや律法学者たちは聖書の知識は高かったのだが、聖書が証しするキリストは否認した。
聖書を研究する目的は永遠の命を与えるために来られたイエスキリストを知るためであるが、彼らの聖書の研究は人のためであった。
[ヨハネの福音書 5:39,40] 39あなたがたは、聖書の中に永遠のいのちがあると思って、聖書を調べています。その聖書は、わたしについて証ししているものです。40それなのに、あなたがたは、いのちを得るためにわたしのもとに来ようとはしません。

聖書の目的は、キリストを知らせて永遠の命を得ることである。
永遠の命は、父がみ子に与えられた啓示であり、正しく完全な啓示です(ヨハネ12:50)。
ですから、永遠の命に無知であれば、正しい知識に達することができず、偽りの教師の道を行くことになる。
永遠の命は、唯一の真の神と彼が送った者イエス・キリストを知ることである(ヨハネ17:3)。

永遠の命を通して知る真の神は、万物の創造主であり、万物を治める。
創造主の神の威厳の前におののく者であり(イザ66:2)、同時に神様と親密な交わりをする者である。

[詩篇 145:3,4,5,8,9,10] 3主は大いなる方。大いに賛美されるべき方。その偉大さは 測り知ることもできません。4代は代へとあなたのみわざをほめ歌い あなたの大能のわざを告げ知らせます。5私はあなたの主権の栄光の輝きあなたの奇しいみわざを語り伝えます。8主は情け深くあわれみ深く怒るのに遅く恵みに富んでおられます。9主はすべてのものにいつくしみ深くそのあわれみは造られたすべてのものの上にあります。10主よあなたが造られたすべてのものはあなたに感謝しあなたにある敬虔な者たちはあなたをほめたたえます。

このように真の神様を知るもの、その人は偽りの教師たちのように高慢で放縦することはできない。
御言葉に従って、恐れおののいて、不平を言わずに、疑わずに自分の救いを達成するよう努める。
[ピリピ人への手紙 2:12,13,14] 12こういうわけですから、愛する者たち、あなたがたがいつも従順であったように、私がともにいるときだけでなく、私がいない今はなおさら従順になり、恐れおののいて自分の救いを達成するよう努めなさい。
13神はみこころのままに、あなたがたのうちに働いて志を立てさせ、事を行わせてくださる方です。14すべてのことを、不平を言わずに、疑わずに行いなさい。

私の黙想

今日のみ言葉に身体がふるえる。
人に無視されないために、霊的に知識があるかのように振る舞っていた。
しかし、何も知らずに教えていた。
ユダが警告した偽りの教師たちの中に私が見える。

風に吹き流される雨無し雲のように落ち着くことなく、自分の欲望のまま、恐れる心もなく一緒に食事をしますが、自分を養っているだけだった。

ああ、どうしたらいいのか。

しかし、神様の憐みのゆえに神様の主権と永遠の命に対する喜びを知るようになった。
不平を言わずに、疑わずに、恐れおののいてみ言葉に従う。

私の中に不満が生じるのは欲望があるからだ。
わきまえのない動物のように、本能に従って行くゆえにぶつぶつ不満を並べる。

御子イエスキリストによって与えられた永遠の命の喜びなかで生き、それを伝え、主が教えたすべてを守らせる務めができる牧師となりたい。

黙想の祈り

ああ、神様!
カイン、バラム、コラのように生きていました。
それ故に、私が受けるべきことは永遠の滅びでした。
しかし、憐みの神様は私のために御子イエスキリスト遣わされ、御霊によって信じる心を与えてくださいました。それによって永遠の命が与えられました。
しかし、偽りの教師たちのようにキリストに従わず、欲望の道を歩んでいました。
風に吹き流される雨無し雲のようにさ迷う私をこのようにみ言葉になかにとどまらせてくださり感謝いたします。
従う心を強めてください。

イエス様のみ名によってお祈りいたします。 アーメン。